国際貿易は外部要因に左右されやすいビジネスです。
多くの貿易取引は米ドルで行われます。為替レートの変動がそのまま収益に影響します。
2022年、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに円安が急速に進みました。
同年の3月はじめには1ドル=115円前後、その後上下を繰り返しながら円安が進みました。2024年の夏には一時160円まで上昇しました。
わずか2年ほどで円の価値は29%下落したことになります。
見積と為替の問題
例えば、見積もりを出してから、正式発注まで数か月かかります。その間に円安になれば、同じ価格を維持することができなくなります。
このリスクに対応する方法として、よく取られるのが「社内レート」です。
実際の為替レートよりも高めのレートを設定して見積もりを作る方法です。しかしこの方法には一つ問題があります。
社内レートの問題点
社内レートは、為替リスクを避けるための仕組みですが、リスクを織り込みすぎると価格が割高になりやすくなります。
例えば、実際の為替レートが158円だった場合、社内レートを165円に設定すると7円の差が生まれます。
為替は必ず円安に動くとは限りません。円高に振れることもあります。
結果として、実際よりも高い価格で見積もりを出してしまう可能性もあります。
変動相場という考え方
そこで弊社は、長くお付き合いのあるお客様に対しては「変動相場」で見積もりをお出ししています。
為替に合わせて価格が動く仕組みです。円安になれば価格は上がり、円高になれば価格は下がります。
スポットのお取引や初めてのお客様には採用していませんが、継続的にお付き合いいただいているお客様とはこの方法を取ることがあります。
この方法を取ることで、為替リスクを見越して高めの見積もりを出す必要がなくなります。
また、為替によって価格が変わる可能性があることを事前に共有することもできます。
ここ数年は円安が続き、値上げしてもまた円安。さらに値上げしてもまた円安。
という状況が続きました。
為替リスクを分けて考える
だし、変動相場を採用しても為替リスクが完全になくなるわけではありません。
弊社の場合、変動相場が適用されるのは正式発注までの期間です。
正式発注後から納品までの為替変動については、弊社がリスクを持つ形になります。
海外生産では、
見積もり
↓
サンプル製作
↓
仕様調整
↓
正式受注
という流れになるため、正式受注まで数ヶ月かかることもあります。その期間の為替リスクはお客様と共有し、受注後の為替リスクは自社でカバーする。
そのようにして、為替リスクを分散する形で取引を行っています。
編集後記
3/3(火)
国際情勢のあおりを受けて円安が進む。2022年に毎日1円ずつ円が安くなっていった時の嫌な記憶が蘇る。昼間の日本市場で下がって。夕方のヨーロッパでまた下がる。夜中のアメリカでとどめを刺される。これからどうなるのだろうか。いくらGoogleで検索しようとも答えはどこにもなかった。
台湾や中国と取引をしているのに、どうしてアメリカの国内政治の風向きに、生き死にを左右されるのだろうか。理不尽さを感じた日々でもあった。
そんな時に、思いついたが変動相場制だった。ただいくら変動相場にしようとも値上げには限りがある。値上げに耐え続けるのか。創意工夫をして何とか乗り切るか。それとも背に腹は代えられないので品質を落とすのか。海外に生産拠点を置くメーカーにとって、為替は避けて通ることのできない問題である。

