一人でも仕事が回る、ものづくりの組織設計

私たちは、台湾人の同僚と2人で靴下を製造するものづくりの仕事をしています。

時々お客様より「人が少ないのに、どうやって回しているのか」と聞かれることがあります。

ここ数年来、本来であれば多岐にわたり人手が必要な業務を、同僚と2人で続けています。

その理由は、無理に人数を増やしているからでも、一人ひとりが特別に優秀だからでもありません。

判断を内側に残し、機能を外側に分ける設計を、意図的に選んできたからです。

このページでは、一人でも仕事が回る状態を保つために、どのように組織と仕事を設計しているのかを書いています。

私たちが選んでいる組織の形

私たちは、人や設備を増やして会社を大きくするのではなく、必要な機能を外部と分担しながら、組織をできるだけ小さく保つという形を選んでいます。

具体的には、次のような機能を自社ですべて抱え込まず、役割ごとに信頼できる外部パートナーと連携しています。

  • 製造:台湾、中国靴下工場
  • 金融:業務提携先
  • 貿易:業務提携先
  • 物流:業務提携先
  • 集客:WEB
  • 税務:税理士

私たちが社内に残しているのは、

  • サービス品質の向上
  • ものづくりコミュニケーション
  • 工場体制のメンテナンス

といった、靴下製造に関わる判断と責任の部分です。

機能を「一極集中させない」理由

この形を取っている理由は、効率やコストだけが目的ではありません。

  • 依存しすぎない
  • 特定の価値観に縛られすぎない
  • 環境が変わっても全体が止まらない

こうした状態を保つために、意図的に機能を分散させる設計をしています。

小さな組織であることを選ぶ

人を増やせば、できることは増えます。同時に、固定費や調整も増えます。

私たちは

  • すべてを自分たちで抱えない
  • できることを無理に広げない
  • 小さなまま続ける

という選択をしています。

その結果、環境が変わっても、柔軟に形を変えながら仕事を続けられる状態を保てています。

分散は「弱さ」ではなく「設計」

機能を分散させることは、責任を放棄することではありません。むしろ、依存を一点に集めないための設計です。

  • どこかが止まっても、すべてが止まらない
  • ものづくりの世界観を保てる。
  • 長期的に、無理なく関係を続けられる。

この状態をつくるために、私たちは現在のネットワーク型の形を取っています。

内向きにならないための組織設計

私たちが現在の体制を取っている理由は、 仕事を効率よく回すためだけではありません。 もっと大きな理由は、 考え方が内向きになってしまうのを避けるためです。

すべてを自分たちの内側で完結させようとすると、 知らないうちに判断基準が変わっていきます。

「 利益が出ないから品質を落とそう」「 今回は仕方ない目をつぶろう」「 長いものに巻かれた方が楽だ」

そうした判断は、 一つひとつは小さく見えても、 積み重なると、ものづくりの姿勢そのものを変えてしまいます。

誰かが傷ついているかもしれない現場の裏側から、 目をそらさなければ成り立たない仕事も、 世の中にはあります。 私たちは、 そうした判断を自分たちの中で正当化する理由を、できるだけ作りたくありません。

だからこそ、 判断と責任は自分たちの内側に置く 機能や作業は、信頼できる外側と分け合う という体制を選んでいます。 これは、 誰かに喜んでもらうことを基準に仕事を続けるための設計です。 

このブログについて

このブログでは、実務の中で考えてきたことや、判断に迷った場面、試行錯誤してきた過程を、できるだけ誇張せずに書いていきます。

扱うテーマは、次のようなものです。

  • 仕事で使う中国語
  • 中華圏製造のケーススタディ
  • ものづくりの考えかた
  • 外注先の選びかた
  • 小さな組織の回しかた
  • 移動と日々の思考(Birdy/ロードバイク)

ここに書いているのは、 完成した答えではありません。 試し、迷い、修正してきた過程そのものです。

一人、または小規模でものづくりを続け、自分の足で歩いて行きたいと考えている方にとって、何かの参考になればと思っています。