こんな方におすすめ
- オリジナル靴下を製造するときの価格を決める要素をざっくりでよいので知りたい
- 靴下のOEM製造を検討しており、コストについての予備知識がほしい
本日はそんな方々に向けてオリジナル靴下を製造するときの価格についての考え方について紹介して参ります。
靴下の製造原価を決める要素はトレードオフである
両方の目標は同時に達成できない、一方がよくなれば他方が悪くなる関係のことをさした株式用語で「トレードオフ」といいます。ご存知の方も多いのではないでしょうか。
靴下の価格にも「トレードオフ」が当てはまります。
材質など仕様を落とせば価格は下がりますが品質も下がります。
人件費が安い海外の工場と直接取引をすれば、価格は下がりますが、その分手間がかかり、自らが負うべきリスクも上がります。
靴下の原価は、複雑な要素がからみあって決まります。考えるだけで頭が痛くなってきそうです。
靴下の製造価格を決める要素とは
材質などの仕様
一般的な白無地靴下を例に、仕様と価格の関係について紹介してまいります。
- 材質
無地靴下は、ベース部分の白い糸、靴下の伸縮性をつくる下糸と呼ばれる細いポリウレタンで作られています。
白い糸を綿にするか、ポリエステルなどの化学繊維にするか、ポリウレタンのランクなどによって価格がかわります。
- 寸法
靴下の寸法が長くなると、価格も上がります。
- 厚み
靴下の厚みによっても価格がかわります。靴下の厚みは糸の太さと、糸を束ねる本数によって変化します。
- ゲージ数(網目の数)
編目の数によって、糸の使用量(重量)や靴下が編み上がるまでの時間も異なるので、価格がかわります。
ロット(生産数量)
数量の多い少ないにかかわらず、サンプル製作から生産の準備までの工程は同じですので、経費も同じようにかかります。
例えば、サンプルを製作する費用が1万円かかったとすると下記の通りになります。
- 1000足 10000円÷1000足=@10円
- 100足 10000円÷100足=@100円
同じ経費がかかったとしても、割り振る数字が小さいため、割高になってしまうことがあります。
小ロットで靴下を製造するときのメリットデメリットや、小ロットで製造すると、価格が割高になる理由など、こちらの記事でより詳しく紹介しております。
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納期と輸送方法
緊急度の度合いにもよりますが、短納期前提でオーダーをするとき、工賃を上乗せして納期交渉をしなければならない場合もあります。
海外生産の場合、輸送時間を短縮するために、通常、船便で輸送している製品を航空便で運ぶと、輸送費も上がります。
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発注経路
例えば工場の納め先がA社1社で最終顧客に納品する場合、
工場原価+A社の経費+利益=製造原価
になります。
工場の納め先がA社で、A社が更ににB社に製品を販売し、B社が最終顧客に納品する場合
工場原価+A社の経費+利益+B社経費+B社利益=製造原価
となります。
海外工場→海外貿易商社→日本輸入業者→日本卸売→日本小売店舗
特に海外で製造する場合、中間業者が増える傾向にあります。
最終の消費者が靴下購入するまでの間に、4〜5社入っているケースもあります。
中間業者が多ければ多いほど、価格は上がります。中間業者が少なければ少ないほど自らのリスクも上昇します。
靴下の製造価格についての私達の考え方とは?
お客さまが、靴下を市場で販売するときに、競合他社と戦うことができるコストと品質を兼ね備えた製品を作るお手伝いをすることが私たちの役目です。
いくら価格が安くても、デザインに妥協があったり、靴下としての品質が劣っていれば、製品を無事に納品したとしても、その後の販売に影響します。
販売状況が芳しくなければ、継続的なお取引を望むことができません。
お客様と私たち双方が靴下開発のために投じた時間とお金の初期投資が無駄になってしまいます。
弊社はお取引を開始する前に、お客様の靴下を販売する目的や市場について、じっくりヒアリングをさせて頂きます。
お客様のご要望に適した進行方法をご提案します。価格と品質のバランスを熟慮した「適正価格」をお出しします。
私達が適正価格を保持できる理由とは?
販売経路がシンプル
私たちの靴下工場は台湾にあります。
私自身が直接製造工場とやりとりをしますので、販売経路の複雑さによる、コストUPが生じることがありません。
デザインシステムの導入でサンプル修正回数の多さによるロスを回避する
2017年8月末に、デザインシステムを導入しました。
デザインシステムは、イラストレーターで作成した色やデザインを、靴下に編んだときのイメージに変換し、バーチャル上でシュミレーションすることができるシステムです。
バーチャル上でサンプルを製作するので何回でも修正が可能です。
導入前は、修正が入るたびにサンプルを製作しておりましたが、導入後はその手間が軽減されています。
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固定費を削る
品質がしっかりしていたとしても、お客様が売場で販売できうる適正価格を出さないと受注することができません。まさにトレードオフの世界です。
日本国内のパートナー(株式会社ユニオンシステム)との業務提携により、物流やデザインシステムなどの固定費をシェアすることで経費を削減しています。
私も家族を養う身ですので、利益なしで仕事をするわけには行きませんが、弾力性のある価格設定ができる体制を作っております。
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海外の靴下工場を「シェア」して共存を目指す私たちファブレス企業の業務提携とは?
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製造に関わる部分(工場原価や材質など靴下の仕様に関わる部分)は一切削らないという考え方
私たちは、適正価格を保持しながらも、「品質」に関わる部分を省いてコストを下げることは一切致しません。
製造工場に気持ちよく仕事をしてもらうために、工場との価格交渉は行っておりません。
工場には、数ヶ月ごとに、自社のビジネスについての方向性を伝えています。
お客様の会社についても工場に紹介しています。工場とお客様の背景を共有することが、品質の向上に繋がるからです。
「食うか食われるか」という競争の世界ではなく、信頼関係を持って工場と「共存共栄」を図ることが私たちの理想です。
私たちは、組織が小さくすることで、固定費を抑えているので、工場の価格を抑えることによって得ることができる「利益」ではなく「品質」を最重要視することができます。
「お客様と工場と互いに協力し合って売場で消費者に手をとってもらえるような靴下を製造し続ける」
ことが私たちの使命だと考えております。
靴下の販売状況が良ければ、長くお取引頂けます。お付き合いが長くなるほど、お互いに理解し合えるので手間も軽減されます。
お客様の靴下事業が順調に推移しない限りは、長いお付き合いはできません。
品質を落とすということは、自分で自分の首をしめているようなものです。本当に大切な1%のために99%を削ぎ落とすというのが弊社の考え方になります。
「仕様」「ロット」「発注経路」「原産国」など価格を決める全ての要素は、一方がよくなれば他方が悪くなる「トレードオフ」が当てはまります。
靴下の価格についてご質問などございましたらお気軽にお声をおかけください。
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オリジナル靴下を製作したい方々に向けて、「製造工場を探したい」「どんな種類の靴下が製作できるか知りたい」など状況に合わせた記事を複数紹介しているページもありますので、よろしければご参照ください。