靴下製作 失敗事例

靴下製造トラブル事例 アシンメトリーソックス(左右柄違い靴下)

「左右の柄が異なるアンシンメトリーのソックスの製造を検討している」

本日はそんな方々に向けて、長年左右柄違い靴下を製造したきた私たちの失敗事例について紹介して参ります。

左右柄違いのアシンメトリー靴下製作で発生したトラブル

左右の柄は同じだけど柄の位置だけが違うデザインでの失敗事例

「左右柄違うけど大丈夫だよね」

「大丈夫」ですと回答したもの、実際に入稿されたデザインを確認すると、左右で柄の位置どりが異なるのみでした。

靴下の模型を製作してやっとのことで工場に説明しました。

製造はできるが、工程ごとに検品を徹底しても、それでも間違える可能性があるので、できることならデザインを修正した方がよい。

というのが工場からの見解でした。

工場にお願いをして、とにかく先に進める方法もありましたが、納期がなく、時間をかけることができない案件だったこともあり、サンプル製作に入る前にお客様に事情をご説明することにしました。

結果、企画そのものが中止になってしまいました。

私自身の油断から生じた問題です。デザイン入稿前にラフのご提供をお願いし、その時点で問題点について説明を入れていればこのようなことになりませんでした。

左右の柄は同じだけど、文字だけ違うデザインでの失敗事例

あるアーティストのコンサートグッズとして、曲名を編み込んだ靴下の製作を承りました。

ここではアーティストや曲名をお伝えすることができないので、童謡の「ゆきやこんこん」を例にすることとします。

靴下左足の裏側に「ゆきや」右足に「こんこん」という文字を入れた左右柄違いのアシンメトリーのデザインです。

両足を揃えたとき、後ろから見ると「雪やこんこん」とつながり、とってもかわいいデザインでした。

もしこれが、工場のミスで、左も右も「雪や雪や」、または「こんこんこんこん」だったら、購入されたファンの方は確実に失望されることでしょう。

お客様に納品する前日に商品が弊社に到着し、20足ほど検品を行ったところ、そのうち数足が、左右両方とも「こんこん」もしくは「雪や雪や」になっていました。

「なんだよ、こんこんこんこんって、まじかよ」 

とつぶやいてみましたが、ときは遅し。

その日の出荷は取りやめて、翌日私自らが、お客様にお届けする旨をお伝えしたうえで、その日は徹夜で検品しました。

朝になっても検品が完了せず、30分だけオフィスの床で仮眠をとったあと、翌日の午後までかかって作業し、夕方やっとタクシーで納品させて頂きました。

コンサートがツアーで分納だったこともあり、その後も週末に商品が入荷し、ひとりで全量検品を行いぎりぎりでお客様に納品をする日々が3週間ほど続きました。

検品する度に工場に改善を促し続けたので、不良率も、徐々に下がっていきました。それに伴い帰宅する時間も徹夜→終電→22時と早くなっていきました。

左右柄違いの靴下の製造工程とは?

左右のデザインが異なる場合、仮に数量が500足の場合、右を250足、左を250足ずつ製造します。

生産数量がある場合は、編機を2台使用して、右と左を同時に製造することもありますが、通常は1台で製造します。

右の製造が完了したら、編機の設定を変更して、左足の製造に進みます。

靴下の製造が完了しましたら、右と左が混ざり合わないように別々につま先の縫製を行います。

縫製の後、スチームという蒸気をかけて形状を整える工程を経て、「ペアリング」という両足の長さを合わせる作業に入ります。

靴下は、伸縮性があるものですので、スチームをかけるときの伸ばし具合によって、0.5cm〜1cm程度のばらつきが発生します。

1足ごとの長さのばらつきは避けられないのですが、左右の長さが異なるものは不良品になります。

0.5cm〜1cmの範囲内で、左右長さを同じものをペアにするのが「ペアリング」工程になります。

左右柄が同じ場合は、「長さ」だけ合わせればよいのですが、左右のデザインが異なると、「長さ」と「柄」を合わせる必要があります。

左右柄違いのアシンメトリー靴下製作で発生したトラブルから私たちが学んだこととは?

デザインシステムを活用して、靴下の模型を製作してきっちりと把握してからサンプルに進行する

弊社お客様とのサンプルワークでのコミュニケーションを強化するために、2017年に島精機製作所のバーチャルデザインシステムを導入しました。

パソコンの画面上でサンプルを製作することができますので、平面のデザインが靴下の網目になったときの再現性を事前に確認することが可能です。

バーチャルサンプルがOKになった時点で、実際のサンプルを製作します。

左右柄違いの場合、デザインが左右で全く違うものであれば、問題はありませんが、上記の失敗事例のように微妙に異なるケースもあります。

その場合、平面でのバーチャルサンプルだけではなく、実寸の靴下データーを切り抜いて、靴下の模型を作成しお客様に確認を入れてから、サンプル手配を進めています。

靴下の模型サンプル製作を開始してから、サンプルにおけるコミュニケーションエラーがだいぶ少なくなりました。

工場での検品に加えて、日本国内での自社検品を行うか、普段より多めに予備分を製造する

左右柄違いのアシンメトリー靴下の製造は、通常より煩雑になるため、普段より不良率が高くなります。

工場で検品をしたあと、さらに日本で検品を行っております。万が一左右同じ柄が見つかってしまった場合、ペアリングにより解決できます。

納期及び価格優先で、どうしても日本での検品が難しい場合は、万が一市場で問題が発生した場合の予備分のご提供も行っております。

まとめ

ここまで、アシンメトリーソックス(左右柄違い靴下)のトラブル事例について紹介して参りましたが参考になりましたでしょうか。

「雪や」と「こんこん」の左右文字違いの靴下について、そもそも普通の靴下を製造するのと同じ感覚で、お客様に納期回答をしてしまったのが、最大のミスでした。

一度お約束をさせて頂いた納期は、何があっても厳守しなければなりません。

その代償は小さくありませんでした。検品対応のため、2017年11月の週末予定は全キャンセルになってしまいました。

優秀な経営者であれば、検品を外注に出して、時間をお金で買うのですが、当時は全部で自分の目で確かめないと安心できませんでした。

まさに「自業自得」です。

商品は、つつがなく納品され、ありがたいことに新しいお仕事のご依頼も頂いております。今後も失敗を活かし、ひとつひとつ丁寧なお仕事をするよう心がけて参ります。

 

  • この記事を書いた人
岩村 耕平

岩村耕平

合同会社ブリングハピネス代表。台湾靴下工場と一緒に「靴下ブランドを立ち上げたい」デザイナー、クリエイター、D2Cブランドを製造面で徹底サポート。工場の強みは細かなデザインの再現とはき心地の良さを両立させる技術力。起業してからの7年間で、数多くのブランドの靴下製造を手がける。バーチャルでサンプル製作が可能な島精機製作所デザインシステムを使用。JR東小金井高架下と秋葉原が拠点。雨と雪の日以外の都内移動は全て「自転車」を使用。既成観念にとらわれず最適な場所と時間を選んで仕事する「環境に依存する」働き方を模索中。

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