旧台湾靴下工場の職人社長から教わったものづくりの考え方とは

2021年の3月、懇意にさせて頂いていた台湾靴下工場の1社が閉鎖しました。

工場の社長は、1980年に靴下の編機を一台購入して、自ら靴下を製造するところから工場を始めた職人です。

11年前に社長と知り合って以来、靴下について、ものづくりの考え方、生き方など多くのことを教わってきました。

残念ながら工場はなくなってしまいましたが、社長とのおつきあいの中で得た思想をこれからも引き継いで行きたいと考えております。

目次

ものごとは一つ一つやること

「一度に沢山のことをやろうとすると、うまく行かない。一つ一つ丁寧かつ確実にこなせ」

社長の仕事の進め方にもこの言葉が反映されています。

台湾工場と知り合って10年になりますが、未だかって営業の売り込みをしたのを見たことがありません。

既存のお客様にじっくりと向かい合い、お客様の要望や考えかたを理解したうえで、オーダーが流れるようになって初めて次を考える経営スタイルです。

工場が閉鎖する前の最後の3年は、弊社に力を注いで頂いておりました。コロナで一気に世界経済が冷え込んだあおりを受けて、残念ながら工場は閉鎖してしまいました。

しかしながらこの3年間弊社の業績はあがりました。弊社がと言うより、工場と二人三脚でおつきあいさせて頂いたブランド様の靴下の販売状況が底上げされました。それも1社だけではありません。

お客様の開発や販売力による部分が殆どであることは間違いないのですが、中国メインで製造しているときと比較する明らかに状況が変化しました。

工場があと1年もってくれていればと思うと悔しくてならないのですが、社長の考え方が間違っていなかったことを改めて実感しております。

モチベーションを上げたいなら品質を上げろ

お客様に商品を納品をして喜んでもらうほど、自信も高まり、どんどん案件を増やしたくなります。

もし納品するたびにクレームが発生したら、どうでしょうか。仕事がいやになるのではないでしょうか。

だからこそ、ひとつひとつの案件を丁寧にこなすのが、社長のスタイルです。

ものづくりの仕事は、モノの良し悪しが全てです。

いくら価格が安く、かつお客様に至れり尽せりのサービスをしたとしても、肝心なモノが悪ければ全てが台無しになります。

モノを起点として信頼関係が成り立っているので、品質が悪ければ全てを失ってしまうのが、ものづくりの仕事です。

靴下は美術品ではなく履くものだ

靴下は、色数が多ければ多いほど、柄が細かくなればなるほど、はき心地に影響がでます。

デザインについてとても厳しいお客様の案件を無事完成させたときに、社長が言いました。

「靴下は美術品じゃない履くものだ(襪子是不是美術品,是穿的)」

社長は覚えていないと思いますが、この言葉はいまでも、私の心に刻み込まれています。

デザインで付加価値をつける靴下の製作をしていると、デザインばかりに目が行ってしまい、肝心の靴下は履くものであるということを忘れてしまうことがあります。

あたり前のことではありますが、デザイン勝負の靴下を製造する場合において、陥りがちな落とし穴です。

弊社が靴下をつくるときは、、履くという視点も大事にしております。

旧台湾靴下工場の職人社長が、仕事の合間にぽろっとこぼした数々の名言は、私の宝物です。

工場が閉鎖した後、こちらで30年間仕事をしてきたスタッフが弊社に入社することになりました。

スタッフと力を合わせて、旧工場社長の考え方を引き継いでいきたいと考えております。

編集後記 2021/12/15(水)

三鷹市井の頭の事務所で通常業務。夜お尻に根が生えてなかなか事務所を出られず。午前0時を過ぎてから家にたどり着く。もう若くはないんだし、こういうことがないようにしなくては。

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この記事を書いた人

合同会社ブリングハピネス代表。中国内モンゴルで中国語とモンゴル語を学んだのち、東京のぬいぐるみ雑貨メーカーで9年間生産管理の仕事をする。2014年に起業し、台湾靴下工場と一緒に「靴下ブランドを立ち上げたい」デザイナー、クリエイター、ブランドに向けた「伴走型でじっくり取り組む靴下製造サービス」を立ち上げる。台湾工場の強みは細かなデザインの再現とはき心地の良さを両立させる技術力。起業してからの7年間で、工場と二人三脚で数多くのブランドの靴下製造を手がける。バーチャルで靴下サンプル製作が可能な島精機製作所デザインシステムを使用。

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