「OEM」「ODM」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。私も製造の仕事に携わるようになってはじめて耳にするようになった用語です。
自社でPB(プライベートブランド)を立ち上げることになった。
アパレルブランドの製造委託に興味がある。
オリジナルブランドを立ち上げるために製造のパートナーを探している。
本日はそんな方々に向けて、アパレルOEMとODMの違いとメリットについてご紹介します。
OEM製造とは?
「Original Equipment Manufacturer」の頭文字をとってOEMとなります。 他社ブランドの製品を製造することを言います。
販路や企画力はあるけど、生産の背景を持たない依頼者が、製造者に生産を委託し、依頼者の仕様に従って製造を進めます。
家電や食品、自動車メーカーなど様々な業態で利用されています。普段あなたが使っている商品もOEMで製造されたものかもしれません。
シャープ買収により、日本での知名度が一躍上昇した「鴻海精密工業」を傘下に置く「フォックスコン・テクノロジー・グループ」は、Appleに向けてiphoneをOEMで生産しています。
OEMは、販売ブランドが流通業の場合「PB(プライベートブランド)」呼ばれることもあります。
セブンイレブンなどで、自社ブランドの名前で販売されている商品も、自社工場で製造されているわけではなく、製造メーカーに製造委託されているものです。
OEM製造のメリットとは?
OEMのメリットは、自社で販路と企画力があれば、工場の設備や必要な技術を持った人材を雇わなくても、OEM製造者側に商品の製造を委託できることです。
例えば、Tシャツを専門に取り扱っているアパレルメーカーが顧客より、「Tシャツとお揃いのデザインで靴下を製作したい」との相談を受けたとします。
Tシャツの知識はあっても、靴下のことはわからない。Tシャツであれば信頼できる工場との関係もあるが、靴下だとそれもない。
仮に自社の資源のみを利用して、ゼロから靴下の製作に取り組むとしたら、時間や費用など、とても手間がかかります。
資源の投資を行ったからといって、お客様がそれに見合う発注をするとは限りません。
弊社は、靴下の製造業を営んでおりますが、上記のようなケースでOEM製造委託の依頼を受けることが多いです。
靴下製造を専業とする弊社におけるOEM事例とは?
トランポリンのフィットネスジムチェーンを営む法人様より、トランポリン用の滑り止めつき靴下を製作したいとのご依頼がありました。
別業者で、滑り止め付きの靴下を製造したところ、滑り止めのゴムが剥がれてしまう問題が発生し、インターネットで業者を探していたところ、弊社にたどり着いたそうです。
実は以前、弊社自身も、中国でトランポリン用の滑り止め付き靴下を製造して、大失敗したことがありました。
この失敗がきっかけになり、滑り止め付きの靴下は、全て印刷工場まで顔が見える台湾工場で、製造するようになっていました。
弊社の失敗事例をお客様にお話ししたところ、弊社で製造を進める運びになりました。
売れ行き好調により、昨年(2018年)から累計で、15000足ほどご発注をいただきましたが、現在までゴムが剥がれてしまう問題は発生していません。
中国製造で大失敗をした、トランポリン用の靴下が、今では弊社売り上げの主力になっております。
OEM製造委託を行うことにより、依頼企業は、業者や工場が長年失敗しながら蓄積してきた「経験」という貴重な資源を獲得することが可能になります。
OEM製造委託をすることにより、自社にない資源を獲得することができる
弊社にOEM製造委託をすることにより、依頼企業は下記のような資源を獲得することができます。
- 弊社が長年時間をかけて培ってきた中国/台湾靴下工場との信頼関係
- 中国語で海外工場とやりとりをする外国語も含めたコミュニケーション能力
- 靴下を製造するためのノウハウ
弊社弊社2017年8月末に島精機製作所さんが開発したデザインシステムを導入しました。「SDS-ONE APEX3」という機種です。
サンプルを製作することなく、イラストレーターで作成したデザインを、靴下に編んだときの編目や色へ変換し、バーチャル上でシュミレーションすることができるシステムです。
サンプルを製作するのと同じような画像を製作することができ、修正点があってもバーチャル上で修正することができます。
工場と関係やデザインシステムは、弊社が靴下製造を専業にしているからこそ保有できる経営資源です。
弊社をパートナーにお選び頂くことによって、資源をシェアすることが可能になります。
アパレルにおけるODMとは?
「Original Desingn Manufacturer」の頭文字をとってODMとなります。製造する製品のデザインなどの開発から製造まで外部に委託することを言います。
アメリカのアパレルチェーン店の「FOREVER 21(フォーエバー21)」がODMの手法を取り入れています。(2019年10月末日本市場撤退予定)
店舗が打ち出したコンセプトを元に、製造業者がデザインを起こしてサンプルを製作した上で提案を行い、店舗側がサンプルを見て購入するかどうか決定する流れになります。
企画開発までをも、外部に委託するため、自社で企画チームを持つのに必要な固定費がかかりません。
数ある業者の提案から実際に販売する商品を選択することができるので、スピード感を持って商品を売り場に投入することが可能となります。
アパレルOEMとODMの違いとメリットについてのまとめ
ここまでアパレルOEMとODMの違いとメリットについてご紹介してきましたが参考になりましたでしょうか。
OEM/ODM製造というと、単に製造を委託するのみと思われがちです。何社かに相見積もりをとって一番安い業者に発注するという考え方もあります。
しかしながら、長期的な視点で見ると、優秀な製造業者とがっちりと業務提携を組んで、時間をかけてパートナーシップを育んでいくことも念頭にいれる必要があるのではないでしょうか。
それが自社ブランドを成長させる大きな原動力になるのかもしれません。
